【アパートで孤独死発生】大家さんが損をしないためにすべきことを解説

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【アパートで孤独死発生】大家さんが損をしないためにすべきことを解説

「アパート経営をしているが、もし孤独死が起きたらどうすればいいのだろう?」
「先日入居者が孤独死してしまったが、片付けの費用などは遺族に請求できる?」

アパートの大家さんなら、そんな疑問や悩みをもったことがあるでしょう。

ひとり暮らしの人が誰にも看取られずに自宅で亡くなり、あとから発見される「孤独死」は、近年ますます増えています。
中には亡くなってから何日も経って発見され、遺体が腐敗して大変な状態になっていた、というケースもありますが、その場合大家さんは、

  • 親族や保証人、救急、警察に連絡する
  • 遺族に原状回復を依頼する
  • 原状回復費用や損害賠償について、相続人と協議する
  • 遺族に遺品整理を依頼する
  • 退去時に家賃などを清算してもらう

など、さまざまな対応をしなければなりません。

そこでこの記事では、アパートで孤独死が発生した場合に備えて、大家さんや管理担当者が知っておくべきことや備えるべき準備についてまとめました。

最後まで読めば、もしあなたのアパートで孤独死があった場合にどうすればいいかがよくわかるでしょう。

この記事で、あなたが孤独死によるトラブルをうまく処理できるよう願っています。

1.アパートでの孤独死の現状

「孤独死」がクローズアップされてから、ずいぶん長い年月が流れました。
が、この問題は解決するどころかますます拡大していると言われます。
そこでまず最初に、アパートでの孤独死の現状について、統計なども交えながら見ていきたいと思います。

1-1.「孤独死」とは

まず最初に、「孤独死」とは何なのかを、簡単に定義しておきましょう。

国土交通省の「死因別統計データには、「本データでは、孤独死を『異状死のうち、自宅で亡くなられた一人暮らしの人』と定義している」という一文があります。

また、一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会の「第5回孤独死現状レポート」の中では、「本レポートにおける孤独死の定義 ☞『自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人』」とされています。

ほかにも、「孤独死報道の歴史」(小辻寿規、小林宗之/2011年「Core Ethics : コア・エシックス」)に挙げられている既存の定義例として、

「一人暮らしをしていて、誰にも看取られずに自宅で亡くなった場合」

「低所得で、慢性疾患に罹病していて、完全に社会的に孤立した人間が、劣悪な住居もしくは周辺領域で、病死及び自死に至るとき」

「すでに社会関係が絶たれていて、その結果誰も死に気づかず、死後かなりたってから、第三者に発見された場合」

などがあるとしています。

それぞれ違いはありますが、おおよそ「ひとり暮らし(または社会的な孤立)」、「誰にも看取られず、自宅内(もしくは周辺)で死亡」というイメージでしょう。

この記事でも、それを前提として話を進めていこうと思います。

1-2.アパートで孤独死する人は増えている

そもそも「孤独死」という言葉は、いつ頃から使われるようになったのでしょうか?

前出の「孤独死報道の歴史」によると、

『孤独死』は、2000 年頃からメディアなどで急速にクローズアップされ始め、少なくともそれが社会的に語られ、問題化されたのは最近のことであると受けとられている」

「しかしながら、孤独死や人間関係の希薄化、社会的孤立といった問題は決して新しい問題とはいえず、高齢化社会に突入した 1970 年代や阪神・淡路大震災の起こった 1995 年、そして 2000 年代と度々起こっていることも事実である。またそれは、問題が時代の流れの中で解決されずに放置されてきた歴史である」

といいます。

つまり「孤独死」は、ここ20年ほどで一気に注目された問題である一方で、50年前の1970年代から続く高齢化社会とともに綿々と続いてきた日本社会の課題だというのです。

以下に掲げるグラフは、国土交通省「死因別統計データ」【東京都区部における年齢階級別の孤独指数の推移】です。

2003年から2018年までのデータですが、孤独死の件数はじわじわと増え続け、15年間で2倍近くに増加しています。

また、少し古く、エリアもサンプル数も限定的ですが、以下のようなデータもあります。

「地方都市における高齢者単独世帯の居住状況と孤独死の実態に関する研究 ー新潟県長岡市と新潟市での事例分析ー」(2017年/公益社団法人日本都市計画学会 都市計画報告集vol.16)からの抜粋です。

高齢者が孤独死した場所は、戸建ての持ち家がもっとも多く、次いで賃貸アパートでした。

地方都市と大都市、または過疎地域ではそれぞれ事情は違うでしょうが、少なくともアパートでの孤独死がある程度発生していることは確認できるでしょう。

2.アパートで孤独死があった場合の法的な責任・義務

もしこの記事を読んでいるあなたがアパートのオーナー、または管理担当者であれば、気になるのは、

「自分のアパートで孤独死があった場合、誰にどんな責任があるのだろうか?」
「そのとき自分は、何をすべきなのか?」

ということでしょう。

この章では、その問題について考えてみましょう。

2-1.賃貸借契約は相続人に引き継がれる

まず、アパートの借主が亡くなった場合、その賃貸契約はどうなるでしょうか?

これは、亡くなった方の法定相続人に引き継がれます
ですから、賃貸契約を継続するか解約するかは、相続人が決めることになります。
大家さんや管理会社が一方的に契約破棄することはできません

一般的には、身内が孤独死した賃貸物件に相続人が住むことはあまり考えられないので、大家さんと相続人の合意のもとに解約するケースが多いでしょう。
その際は、相続人から解約通知書面をもらってください

もし亡くなった方が家賃を滞納していれば、未払い分の家賃も相続されるので、大家さんは相続人に家賃の請求をすることができます
その場合は、家賃滞納を理由として、大家さんの方から賃貸契約を解除できる可能性もあります。

注意が必要なのは、相続人が複数いる場合です。
そうなると、賃貸契約や家賃の清算については、

  • 遺産分割協議前なら、解約には相続人全員の同意が必要で、家賃は相続人それぞれに請求できる
  • 遺産分割協議後は、特定の相続人が決まっていれば、解約も家賃支払いもその人が行う

ということになります。

もし相続人全員が相続放棄をした場合は、大家さんから家賃請求はできなくなります
ただ、相続放棄をされても、部屋の片づけなどが必要であれば、その依頼をすることはできます。
了承してくれるかはまた別の問題ですが、お願いしてみるといいでしょう。

2-2.清掃・原状回復の費用負担は、発見時期によって異なる

アパートで孤独死があった場合、大家さんにとってもっとも困ることのひとつは、部屋の後片付けでしょう。
亡くなっているのが発見されるまでに日数がかかることも多く、室内に汚れやにおいがしみついてしまうため、特殊清掃を入れるケースもままあります。
そこで問題になるのが、「清掃や補修など、原状回復にかかる費用はだれが負担するのか」です。

これは、発見時期によって以下のように異なります。

発見時期清掃・原状回復費用の負担
死後間もなく通常の国土交通省「原状回復ガイドライン」に沿って、大家と借主で分担
日数が経ってから遺体が腐敗した場合、それによる汚れや破損の原状回復費用は連帯保証人・相続人に請求できる可能性がある

ただ、これは法的に定められたものではありません。

まだ未確定の部分も多いので、遺族との話し合いがうまくいかなければ、弁護士など専門家を頼りましょう。

2-3.大家から相続人・連帯保証人への損害賠償請求は難しい

アパートで孤独死があった場合、金銭的な問題は原状回復費用以外にもうひとつあります。
それは、大家さんが被る損害に関しての賠償問題です。

具体的にいうと、

  • 部屋について、通常の原状回復を超える清掃や補修が必要な場合の費用
    (床や壁などを張り替える必要がある、専門業者に消臭作業を依頼するなど)
  • 部屋がきれいになるまで次の賃借人に貸すことができないので、その期間の家賃の逸失分
  • 部屋がいわゆる「事故物件」になったために、家賃を相場より下げなければならない場合の逸失分

などについて、損害賠償を請求したいと考える大家さんも多いのです。
それは可能でしょうか?

結論からいえば、その孤独死が自然死であった場合は、これらを請求するのは難しいでしょう。
というのも損害賠償は、相手が故意または過失によってその損害をあたえた場合に限り請求できるからです。

自然死は、故意にも過失にも当てはまりませんし、また発見までに時間がかかって部屋が汚れたり破損したりしたとしても、それもまた亡くなった方の故意や過失ではありません。
ですから亡くなった方、またはその連帯保証人や相続人に責任を負わせることはできないのです。
同じ理由で、家賃の補填も請求はできません

ただ、自殺の場合はまた別です。
状況によっては故意または過失が認められる可能性があり、損害賠償請求できるかもしれませんので、申し立ててみるといいでしょう。

2-4.次の入居者への告知義務は、自然死ならなし、自殺ならあり

さらに、清掃と原状回復が済んだあとにも、大家さんには心配なことがありますよね。
「次にその部屋を借りようという人に、孤独死があったことを話さなければならないのか、話さなくてもいいのか」という問題です。

これについても、その孤独死が自然死か自殺かによって異なります。
一般的には、

  • 自然死なら告知義務なし
  • 自殺なら告知義務あり

と判断すればいいでしょう。

前述したように、孤独死といってもそれが自然死であれば、普通の病死と同じことです。
それならば、次の賃借人に特に知らせなければいけないということはない、と考えられています。

一方自殺の場合は、告知しなければなりません。
自殺者が出た部屋にあえて住みたいという人はおらず、知っていれば「イヤだな」と思うでしょう。
そのような「心理的瑕疵」がある物件は、事前に賃借人に告知しなければならないと定められているからです。

ただし、この告知義務には期限があると考えられていて、賃貸物件の場合は、自殺があってからおおよそ3年程度とされています。

以上のことは、法律で明確に定められているわけではありませんが、2021年現在、国土交通省がガイドラインを定めようとしています。

「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」として、パブリックコメントを募集していたので、そのうちに正式なガイドラインが発表されるでしょう。

3.アパートで孤独死が発見された場合の流れ

では、実際にアパートで孤独死が発見された場合、大家さんや管理会社は何をすればいいのでしょうか?
すべきことを流れに沿って説明していきましょう。

3-1.親族や保証人、救急か警察に連絡

孤独死が発見されるのには、さまざまなケースがあります。

前出の一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会「第5回孤独死現状レポート」によると、孤独死の第一発見者は、以下のようになっています。

【第一発見者の構成】

もっとも多いのが管理者で約27%、ついで親族21%、3番目は福祉関係者約18%です。
つまり、親族ではない人が発見する率が高いのです。

では、もしご近所の人などから大家さんや管理会社に「様子がおかしい」「異臭がする」などの連絡があった場合はどうすればいいのでしょうか?

その場合は、まず警察と親族に連絡しましょう。
そして、かならず警察官と一緒に部屋を確認してください
もし親族と連絡がとれなければ、保証人に連絡します。

死亡が確認されたら、警察が現場検証などをしますので、警察官の指示に従いましょう。

3-2.遺族に原状回復を依頼

警察による現場検証や身元確認が終わり、遺体が運び出されたら、なるべく早くに室内を現状回復しましょう。
時間が経つと虫が出たり、においが染み付いてしまったりする恐れがあるためです。

現状回復は、まず遺族に依頼します。
遺族がいなければ、保証人にも責任がありますのでそちらに依頼するといいでしょう。

もし遺族がいなかったり、いても相続放棄していたり、保証人もなかったりと、誰にも依頼できない場合は、大家さんか管理会社が自費で原状回復をしなければなりません。

実際の作業は、特殊清掃が必要になることも多いため、専門業者に依頼します。
もし「原状回復といわれても、どこまで何をきれいにすればいいのかわからない」という場合は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を参考にしてください。

床、壁、建具などそれぞれをどんな状態に戻せばいいか、細かく定められています。

3-4.相続人と費用負担・損害賠償について協議

遺族のうち、遺産相続をする相続人には、賃貸契約が引き継がれます
そのため、原状回復にかかった費用を誰が負担するかなどは、相続人と相談しましょう。

特に自殺の場合は、前述のように損害賠償を請求できる可能性がありますので、それについても協議します。

3-5.遺族に遺品整理を依頼

原状回復が終わったら、亡くなった方の遺品の整理を遺族に依頼して、家財道具などをすべて運び出してもらいます。

孤独死では、室内がゴミ屋敷状態になっているケースもありますので、その場合は遺族が自分で片付けず、専門業者に片付けを依頼するという方法もあります。
孤独死があった部屋を清掃することを「特殊清掃」と呼びますので、この特殊清掃を扱っている業者を探して依頼するといいでしょう。
特殊清掃業者が遺品整理も請け負っている場合がありますので、あわせて頼んでみるのもひとつの方法です。

3-6.退去時に家賃などを清算

部屋がきれいに片付いたら、賃貸契約を解除して退去となります。
その際に、家賃の滞納などがあれば、相続人に清算してもらってください
清算が住めば、一連の流れは終了です。

4.原状回復・清掃・遺品整理の費用相場

前章で、原状回復や遺品整理には特殊清掃の専門業者に依頼するといいと述べました。
では、その際の費用はどれくらいでしょうか?
おおよその費用相場を紹介しておきましょう。

【特殊清掃の費用例(間取り別)】

※死後3週間で発見された場合の一例

間取り特殊清掃時間消臭時間作業費用
1DK4時間48時間60,000
1R2.5時間72時間95,000

特殊清掃の費用例(作業内容別)】

サービス内容作業費用
床の特殊清掃30,000円~
浴室の特殊清掃30,000円~
消臭剤・除菌剤の散布10,000円~
汚れた畳の撤去3,000円~/1
オゾン脱臭30,000円~/1
作業員の人権費20,000円~

【遺品整理の費用例】

間取り費用相場作業人数作業時間
1R1K30,000円~80,000~21~3時間
1DK50,000円~120,000~32~4時間
1LDK70,000円~200,000~42~6時間
2DK90,000円~250,000~52~6時間
2LDK120,000円~300,000~63~8時間
3DK150,000円~400,000~74~10時間
3LDK170,000円~500,000~85~12時間
4LDK以上220,000円~600,000~106~15時間

ちなみに、当社「リスクベネフィット」の料金表は以下のとおりです。
24時間・年中無休のフリーダイヤルでご相談をお受けしています。

リスクベネフィット料金表

作業内容料金
孤独死パック78,670円 → 期間限定51,094
床切断作業35,000
特殊コーティング5,000円/1か所
オゾン燻蒸30,000円~

5.原状回復・清掃・遺品整理業者選びのポイント

孤独死が増えるに従って、原状回復や遺品整理を手掛ける特殊清掃の専門業者も増えてきました。
では、数ある業者の中からどのようにして依頼先を選べばいいでしょうか?
そのポイントをいくつか挙げておきましょう。

5-1.複数業者に相見積もりをとる

まず、複数の業者に相見積もりをとってください
特殊清掃の費用は業者によってまちまちです。
何社かを比較して、納得いく料金を提示した業者を選びましょう。

その際には、それぞれの業者に「相見積もりをとっている」と伝えます。
それによって、不要な料金を上乗せされたりするリスクを避けられます。
場合によっては、少し割引してくれるかもしれません。

5-2.安さだけで決めずに質を見る

相見積もりをとったからといって、「その中でいちばん安い業者を選べばいい」とは言い切れません。
特殊清掃は、値段と同時に清掃技術の「質」も重要だからです。

が、特殊清掃には必須資格は特にありません。
そのため安い業者に依頼すると、知識や経験が足りずに、見た目はきれいに清掃してくれたようでもにおいが消しきれていなかった、などの問題が残ってしまう恐れがあります。

そのようなことを防ぐためには、確かな技術を持った業者を選ばなければなりません。
たとえば、

  • 除菌脱臭サービス協会の脱臭マイスター
  • 事件現場特殊清掃士
  • 解体工事業登録:特殊清掃には部屋の一部解体が必要なため

などの資格や認定があることが、業者選びのひとつの目安になるでしょう。

また、過去に手掛けた特殊清掃の実績数もポイントです。
できれば多くの実績ある業者を選んでください。

特殊清掃のご依頼は信頼できる専門家集団に

もしあなたのアパートで入居者の方が孤独死してしまった場合、特殊清掃は専門家集団である株式会社リスクベネフィットにご相談ください。

株式会社リスクベネフィットは、全国の特殊清掃業者をつなぐ業界最大手の専門家集団です。

特殊清掃における以下のような強みを持っています。

  • 過去8,000件以上の豊富な実績
  • 孤独死清掃に必須の【公的許認可取得】
  • 自社特許技術で完全消臭が実現可能
  • 清掃中も清掃後も臭いの視覚化を実現
  • 国際機関(WHO・CDC)の認定を受けた、新型コロナウィルスにも対応した唯一の除菌工法
  • 特殊清掃業界初のローン支払いが可能

リスクベネフィットが特に自信を持っているのは、業界最高水準の完全消臭技術です。
清掃時には、特殊光を用いて臭いの発生源である体液残りを確認しながらの清掃を繰り返すほか、清掃後にも専用の機械を使って数値化して提示することができます。

遺品整理、ゴミ屋敷清掃などもお請けしていますので、ぜひご相談ください。

6.アパートで孤独死があった場合の注意点

ここまで、アパートで孤独死があった場合、大家さんや管理会社が知っておくべきことを解説してきました。
が、それ以外にも、実際に孤独死に遭遇した際に注意してほしいことがあります。
それは以下の4点です。

6-1.大家さんだけで室内に入らない

「アパートでひとり暮らしの親族と何日も連絡がとれない」、または「隣の部屋から異臭がする」など、孤独死の予兆があった際には、多くの場合、まず大家さんや管理会社に連絡が入ります。
そうなったら、連絡を受けた大家さん、管理担当者は、自分たちだけでその部屋には入らないでください。

というのも、そもそも大家だからといって、借主の承諾なく勝手に部屋に入ってはいけないからです。
さらに、もし大家さんが第一発見者になってしまうと、警察に状況説明をするなどいろいろと協力しなければならなくなります

そこで、まずは警察に連絡をしてください。
警察官が到着したら、鍵を預けて開けてもらい、中の確認などもすべて警察主導で進めてもらいましょう

6-2.遺族への連絡は慎重にする

孤独死が発生したら、無事にすべてが片付くまで、大家さんは亡くなった方の遺族とさまざまな話し合いをしなければなりません
原状回復や遺品整理を頼んだり、損害賠償を請求できる場合はその協議をするなど、たびたび連絡をとることになるでしょう。

それらを滞り無くすすめるためには、最初の連絡が重要です。

借主が亡くなったことを伝える際に、先走って原状回復の費用や損害賠償の話をしたり、責任を追求してしまうと、遺族は警戒心や不信感をもつでしょう。
となると、その後の話し合いもスムーズに進まず、場合によっては早急に相続放棄されてしまうかもしれません。

そうなれば、部屋の片付けも勝手にはできないので、いつまでも部屋が使えない状態が続きますし、原状回復費用の回収も賠償請求もできなくなってしまいます。

遺族に連絡するときはことを荒立てないよう、言葉や態度には慎重になってください。

6-3.遺品を第三者が勝手に片づけない

遺族には、原状回復とともに、遺品整理もしてもらわなければなりません。
亡くなった方の遺品は、どんながらくたに見えても相続財産として相続人に引き継がれます。
大家さんや管理会社が勝手に片付けることはできません。

もし、遺族がなかなか遺品整理をしてくれない場合でも、大家さんは手を付けず、遺族にお願いを続けてください。

6-4.部屋の明け渡し交渉は相続人ではなく連帯保証人とする

また、遺族からなかなか部屋を明け渡してもらえないというケースもあります。
遺族の間で遺産分割協議が終わっておらず、そのためアパートに残っている遺品が片付けられない、などの場合です。

その場合、もし遺族とは別に連帯保証人がいるなら、その人と話をしましょう
連帯保証人は借主と同等の権利と義務をもっていますので、当然賃貸契約の解除をすることもできます
また、長く部屋を借りたままでいると、自分が支払わなければいけない家賃が増えていくわけですから、早く明け渡してくれるはずです。

7.アパートでの孤独死に対する事前の備え

ここまで、アパートで孤独死があった場合について、いろいろと説明してきました。
が、大家さんとしては、孤独死など起こらないに越したことはありませんよね。
もしくは、起きたとしても、できるだけトラブルを小さく抑えたいところです。

そこでこの章では、孤独死のリスクに備えて、事前に大家さんや管理会社がしておくべきことを説明します。

7-1.アパートの大家さんや管理者がしておくべきこと

まず、大家さんや管理担当者にできる事前の備えは、以下の3点です。

借主の緊急連絡先、連帯保証人・相続人の連絡先を聞いておく

孤独死に限らず、もし何かあった場合に関係者の連絡先がわからなければ、大家さんの独断で勝手に動くことはできないので困ってしまいます。
そこで契約時には、借主の緊急連絡先、連帯保証人や相続人の連絡先をかならず聞いておきましょう

たとえば以下のような「入居者情報シート」をつくって記入してもらっておくといいでしょう。

出典:岡山県居住支援協議会「住宅確保要配慮者入居円滑化マニュアル 第4版」

借主と定期的なコミュニケーションをとる

アパートの住人とは、日頃から定期的にコミュニケーションをとるようにしましょう。
安否確認の電話1本入れるだけでも結構です。
それにより、万が一孤独死があっても、早期に発見できるでしょう。

安否確認サービスや見守りセンサーなどを利用する

最近では、ひとり暮らしの高齢者向けの安否確認サービスや見守りグッズなどが充実しています。
室内にとりつけて一定時間動きがなければ知らせてくれる人感センサー、定期的に訪問して安否確認するサービスなど、種類もさまざまです。
それらを利用して、もし何かあれば、亡くなる前にすぐ駆けつけられる態勢を整えておくのもひとつの方法です。

7-2.アパートの孤独死に備える保険

また、孤独死によって損害を被らないよう、保険に入っておくのもおすすめです。
火災保険に孤独死の特約をつけられるものや、その名もズバリ「孤独死保険」と呼ばれる大家さん向け保険などがあります。

これに加入しておけば、孤独死があった場合には、

  • 原状回復費用
  • 遺品整理費用
  • 家賃の逸失分の補填

を保証してもらえるのです。

その主な例を挙げておきますので、ぜひ検討してみてください。

アイアル少額短期保険株式会社「無縁社会のお守り」

 月々280円/1室~の保険料で、

  • 事故後の原状回復費用を100万円まで補償
  • 事故後の空室、値下げの家賃80%まで補償

 など充実の補償が受けられます。

住まいぷらす少額短期保険株式会社「大家さんの安心ぷらす」

 1室あたりの年間保険料2,700円~で、

  • 入居者死亡修理費用等保険金額を100万円まで補償
  • 臨時費用保険金額(犯罪死・自殺は2倍)を定額25万円・50万円お支払い(コースにより異なる)

 などの補償が用意されています。

8.まとめ

いかがでしたか?
アパートでの孤独死について、知りたいことがわかったかと思います。

では最後に、この記事の要点をまとめてみましょう。

アパートで孤独死があった場合の法的な責任・義務は以下の通り

  • 賃貸借契約は相続人に引き継がれる
  • 清掃・原状回復の費用負担は、発見時期によって異なる
  • 大家から相続人・連帯保証人への損害賠償請求は難しい
  • 次の入居者への告知義務は、自然死ならなし、自殺ならあり

アパートで孤独死が発見された場合、大家さんがすべきことの流れは、

  • 親族や保証人、救急か警察に連絡
  • 遺族に原状回復を依頼
  • 相続人と費用負担・損害賠償について協議
  • 遺族に遺品整理を依頼
  • 退去時に家賃などを清算

原状回復・清掃・遺品整理業者選びのポイントは、

  • 複数業者に相見積もりをとる
  • 安さだけで決めずに質を見る 

アパートで孤独死があった場合の注意点は、

  • 大家さんだけで室内に入らない
  • 遺族への連絡は慎重にする
  • 遺品を第三者が勝手に片づけない
  • 部屋の明け渡し交渉は相続人ではなく連帯保証人とする

これを踏まえて、もしあなたのアパートで孤独死が起きても、うまく対応できるよう願っています。

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