孤独死発生時の原状回復費用は誰が支払う?相場や請求範囲を解説

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孤独死発生時の原状回復費用は誰が支払う?相場や請求範囲を解説

「孤独死発生時には多くの費用がかかると聞いたけど、一体どれ程かかるのだろう」
「原状回復費用は誰が支払うのかな?大家が費用を負担する必要はあるのだろうか」

とお悩みではありませんか。

原状回復費用の支払い責任がある順番は以下の通りで、第6回孤独現状レポートによれば、孤独死の原状回復には平均で39万円程度の費用がかかることがわかっています。

  1. 借り主(遺産・保険金)
  2. 相続人や連帯保証人
  3. 保険会社・保証会社
  4. 大家や不動産業者

上記の順番を見ると、大家の費用負担は少ないように感じるかもしれません。

しかし法定耐用年数の問題により、相続人や連帯保証人に費用全額を負担してもらうことは難しく、大家が費用の大部分を負担することになるケースも存在します。

そのためなるべく多くの費用をもらう方法や、対処法などを事前に確認しておくことが重要です。

この記事では、あなたが所有している物件で孤独死発生時にかかる原状回復費用を把握できるように、詳しく解説します。

この記事を最後までお読みいただくと、所有物件で孤独死が発生してしまった場合にかかる原状回復費用の目安や、費用を負担する人がわかります。

孤独死の原状回復作業をスムーズに進めるために、早速読み進めてくださいね。

1.孤独死発生時の原状回復費用は誰が支払う?4つのケースを解説

先述の通り、孤独死の原状回復時には39万円程度の費用が発生し、ほとんどの場合は相続人や連帯保証人に費用が請求されます。

しかし相続人に請求しても、相続放棄などによって支払いを拒否されるケースも少なくありません。

まずは原状回復費用の支払いの責任がある順番と、以下の4つのケース別の費用負担者について解説します。

  • 相続人・連帯保証人がいる場合
  • 相続人が相続放棄をした場合
  • 相続人と連帯保証人が同じで相続放棄をした場合
  • 死亡者が生活保護受給者の場合

1-1 支払いの責任がある順番

借り主が孤独死した場合は、支払いの責任がある順番に費用の請求が行われます。
以下は、原状回復費用の支払い責任がある人を、責任が大きい順に並べたものです。

  1. 借り主(遺産・保険金)
  2. 相続人や連帯保証人
  3. 保険会社・保証会社
  4. 大家や不動産業者

原状回復費用の支払い責任が最も大きい人は、死亡した借り主です。

国土交通省住宅局が発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、原状回復は以下のように定義されており、借り主の過失等によって生じた修繕費用は、借り主が負担する必要があります。

<原状回復とは>
賃借人の居住、使用により発生した建物価格の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他の通常の仕様を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

引用:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)

孤独死発生時には、床に広がってしまった体液等を取り除くため、原状回復作業が必要になります。

上記のように原状回復の責任があるのは借り主なので、借り主にある程度の資産がある場合は、遺産から原状回復費用の支払いが行われるのです。

ただ借り主に資産があると言っても、大家や不動産業者が勝手に遺産を使用できる訳ではありません。
基本的には、子どもなどの相続人がまず遺産を相続し、その後相続人から費用が支払われるといった流れになります。

また借り主が孤独死保険や、特約つき家財保険などに加入していた場合は、原状回復や遺品整理について補償を受けられるケースもあります。

では「借り主が保険に加入していない」「財産がなく相続人が相続放棄をした」などの場合は誰が費用を支払うのでしょうか。次項では、原状回復の費用負担をする人を4つのケース別に紹介します。

【注意:相続人や連帯保証人への費用全額の請求は難しい】

上記の通り、孤独死による原状回復費用の支払責任は相続人や連帯保証人にあります。

しかし通常の退去時と同様、法定耐用年数が経過した物についての費用請求はできないため、費用全額を請求することは難しいと言えます。

孤独死発生時の原状回復費用の請求範囲については、「5. 孤独死の原状回復はどこまで請求できる?」にて詳しく解説します。 

1-2【ケース別】原状回復費用の支払いにおける4つのケース

原状回復費用は、まず相続人または連帯保証人に請求されます。

しかし、相続放棄などにより支払いを拒否されるケースも少なくありません。

ここでは以下の4つのケースについて、「原状回復費用の費用負担者が誰になるのか」を解説します。

  • 相続人・連帯保証人がいる場合
  • 相続人が相続放棄をした場合
  • 相続人と連帯保証人が同じで相続放棄をした場合
  • 死亡者が生活保護受給者の場合

1-2-1 相続人・連帯保証人がいる場合

相続人・連帯保証人がいる場合
負担者:相続人または連帯保証人

借り主に相続人や連帯保証人がいる場合は、相続人または連帯保証人が費用を負担することになります。

連帯保証人だけでなく相続人も含まれる理由は、借り主の死亡後、賃貸借契約が自動的に終了することはないためです。

民法第896条によれば、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を継承する」とあります。

つまり借り主が得た「建物を借りる権利」も相続人に相続されるため、貸し主である大家は、相続人に原状回復費や未収賃料を請求できることになります。

もちろん連帯保証人にも支払い義務は存在しますが、賃貸契約をする際の連帯保証人は、相続人と同じ人物であるケースが多いほか、上記のような相続の問題も存在します。

そのため相続人に最初に連絡が行き、相続人が費用を負担する場合が多いです。

1-2-2 相続人が相続放棄をした場合

相続人が相続放棄をした場合
負担者:連帯保証人

相続人に連絡を取ることができても、相続人が相続放棄をするケースも少なくありません。
もし相続人が相続放棄をした場合は、連帯保証人が費用を負担することになります。

たとえば

  • 費用負担額が非常に高額で、借り主の遺産だけでは支払えそうにない
  • 借り主の遺産がほとんどない

などの場合は、相続放棄をすることにより、相続人は借金を含むすべての財産を放棄することができます。

相続放棄をした場合は「借り主が得た建物を借りる権利」も失われるため、相続人が原状回復費用を支払う必要はありません。よって相続人が相続放棄をした場合は、連帯保証人が費用を負担することになります。

【注意:連帯保証人に極度額以上の請求はできない】

連帯保証人が費用を負担する場合は、事前に定められた「極度額」以上の金額を請求できない点には注意が必要です。

2020年度に行われた民法改正により、連帯保証人は契約書にて事前に定められた「極度額」以上の金額を支払う義務はなくなりました。

極度額についてもう少し詳しく説明すると、たとえば賃貸借契約書に「極度額は家賃の24ヶ月分」と書かれていた場合は、連帯保証人は家賃24ヶ月分を超えた費用を支払う必要はありません。

法改正以降に契約した場合は、極度額を超えた分の支払いは連帯保証人ではなく、保険会社または大家が負担することになります。

ただし以下の図のように、法改正が実施された2020年の4月1日以前に契約を行った場合は、このケースには当てはまりませんので、契約書をよく確認してください。

国土交通省 【参考】民法改正の影響(連帯保証契約)①を基に作図

1-2-3 相続人と連帯保証人が同じで、相続放棄をした場合

相続人と連帯保証人が同じで、相続放棄をした場合
負担者:連帯保証人

では相続人と連帯保証人が同じで、相続放棄をした場合はどうなるのでしょうか。
上記の場合は、連帯保証人が費用を支払うことになります。

たとえば借り主の子どもであるAさんが連帯保証人になっていた場合は、仮にAさんが相続放棄をしても、Aさんに支払いの義務が残るということです。

「相続放棄をしたのにどうして?」と思うかもしれませんが、連帯保証人の義務は、相続放棄をしても消滅しません。よって「相続人=連帯保証人」の場合は、相続放棄後も費用負担の義務が残ることになります。

1-2-4 借り主が生活保護受給者の場合

借り主が生活保護受給者の場合
負担者:連帯保証人または保証会社

借り主が生活保護受給者であった場合も、大きな変更点はなく、基本的には相続人や連帯保証人が費用負担者となります。

ただ生活保護受給者の中には、親族と疎遠になっており、相続人や連帯保証人が不在の場合も多いです。

連帯保証人が不在の場合は、保証会社を利用して賃貸契約を行っています。
よって連帯保証人がいないケースでは、保証会社が代わりに費用を負担することになります。

保証会社の契約内容によっては、残置物(遺品)の撤去までが保証内容となっている場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

上記の4パターンを見ると、大家の負担は少ないように感じるかもしれません。
しかし原状回復には数百万円かかるケースもあり、費用額が大きい場合は、大部分が大家の負担になることも多いです。

次項では、原状回復にかかる費用相場について詳しく解説します。

2.孤独死発生時の原状回復にかかる費用相場

先程も少し紹介した通り、孤独死発生時の原状回復には、数十万円〜数百万円のお金がかかります。
以下の表は、2020年の孤独死発生時の原状回復費用についてまとめたものです。

孤独死の原状回復費用

平均損害額389,594
最大損害額1,528,329円
最小損害額5,400円

(出典:第6回孤独死現状レポート 一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会)

平均損害額は389,594円で、原状回復には40万円近いお金がかかることがわかります。

また最大損害額は150万円を超えており、遺体が発見されるまでの日数によっては、100万円近い費用が発生する可能性もあると言えます。

【注意:孤独死発生時にかかるお金は原状回復費用だけではない】

孤独死の発生時には、原状回復費用だけでなく「残置物処理費用」も発生します。
残置物処理費用とは、借り主の部屋にあった家具や家電などの生活用品を処分する費用のことです。

生活用品を処分する費用と聞くと、数十万円で済むイメージがあるかもしれません。
しかし借り主の部屋がゴミ屋敷のようになっていた場合は、100万円近いお金がかかるケースもあります。

以下の表は、2020年の孤独死発生時の「残置物処理費用」についてまとめたものです。
平均損害額は20万円程度ですが、最大でなんと170万円ものお金がかかっています。

孤独死の残置物処理費用

平均損害額235,865
最大損害額1,781,595円
最小損害額1,080円

(出典:第6回孤独死現状レポート 一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会)

孤独死発生時にかかる費用は、原状回復費だけではないことを頭に入れておくとよいでしょう。

3.孤独死発生時の原状回復の作業内容

孤独死発生時の原状回復では、ただ部屋の掃除を行うだけでなく、遺品整理や特殊清掃などの様々な作業を行うことになります。

ここでは、孤独死発生時の原状回復の3つの作業内容を紹介します。

  • 遺品整理(残置物の処理)
  • 特殊清掃
  • リフォーム

3-1 遺品整理(残置物の処理)

遺品整理は、遺体の損傷具合に関わらず必ず行うべき作業です。
借り主の死亡後は、家の中に家具や家電などの生活用品がそのまま残されている状態です。

しかし残置物は相続の対象となるため、大家や管理会社が勝手に処分することはできません。
相続人がわかっている場合は、相続人に処理を依頼するとよいでしょう。

【注意:相続人がいない場合は相続財産管理人の選定が必要】

相続人・連帯保証人がいない場合や、相続人が相続放棄をした場合は、相続財産管理人の選任手続きを行う必要があります。

相続財産管理人とは、相続人がいない場合に相続財産の管理や処分を行う人で、選任には家庭裁判所に申立書を提出することになります。

遺品を管理する人がいない場合は、トラブル防止のためにも、相続財産管理人に処分を任せましょう。

なお孤独死発生時の遺品整理については、以下の記事で詳しく紹介しています。遺品整理の流れや業者の選び方についても解説していますので、あわせて参考にしてください。

3-2 特殊清掃

もし孤独死の発見が遅れ、遺体が損傷している場合は、特殊清掃を行うことになります。
特殊清掃とは一般的な清掃とは異なる、特殊な作業を実施する掃除のことです。

たとえば

  • 体液や血液などの処理
  • ウジ虫やハエの除去
  • 部屋の消臭

などの作業を行うことで、孤独死が発生した部屋を人が住める状態に戻します。

特殊清掃は一般的なハウスクリーニングよりも多くのお金がかかるため、「遺体の損傷が酷くなければ必要ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし孤独死が発生した部屋は室内にニオイが残ることが多いため、たとえ損傷が酷くないケースでも、一度特殊清掃業者に室内の状態をチェックしてもらうことがおすすめです。

孤独死発生時の清掃については以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご一読ください。

3-3 リフォーム

リフォームは遺体の損傷が酷く、汚物清掃や消毒剤の散布だけでは原状回復が難しい場合に行われます。

孤独死発生時のリフォームと聞くといまいち作業内容がわかりづらいですが、たとえば

  • フローリングの解体
  • 床の切りはずし
  • 便座の取替や着脱
  • 洗面台や浴槽の撤去・交換
  • 壁紙の張り替え

などの作業を行うことになります。

リフォームは必須作業ではありませんが、遺体の状態によっては、リフォームせざるを得なくなるケースも多いです。

第6回孤独死現状レポートによれば、孤独死の発見までの平均日数は17日であると書かれています。

死後2週間以上が経過していると、遺体の損傷が進んでいるほか、亡くなった場所によっては大掛かりな工事が必要になる場合もあります。

費用面を気にしてリフォームを行わなかったことにより、後からニオイやシミなどのトラブルが発生してしまうケースも少なくありません。リフォームが必要かどうかも、プロの判断に任せることが重要です。

4.【ケース別】孤独死の原状回復費用をシミュレーション

孤独死発生時の原状回復費用は、死亡した場所や遺体の損傷具合によって異なります。

ここでは以下の3つのケースについて、孤独死発生時の原状回復費用についてのシミュレーションを行います。所有物件で孤独死が起こった際にどのくらいのお金がかかるのか、ぜひチェックしてみてください。

  • ケース1:リビングで亡くなっていた場合のシミュレーション
  • ケース2:浴槽で亡くなっていた場合のシミュレーション
  • ケース3:トイレまたは洗面所で亡くなっていた場合のシミュレーション

4-1 ケース1:リビングで亡くなっていた場合のシミュレーション

まずはリビングで亡くなっていた場合のシミュレーションを行います。

【特殊清掃を必要とする状況】
住まい:1DK
状況:リビングで死亡している

このケースは部屋が狭いため、基本料金を安く抑えることができます。

基本料金

1DKの特殊清掃60,000円
作業員(2名)40,000円(20,000円×2)

ただし床が体液等で汚れていたり、ニオイがこもったりしている場合は、以下のような作業が必要になる場合もあります。

作業内容別の料金

床切断作業35,000円
特殊コーティング5,000円/箇所(ここでは2箇所とするため5,000円×2)
オゾン燻蒸30,000円
床下洗浄コーティング35,000円

上記の作業をすべて行った場合の合計金額は、210,000円です。ただし、他の部屋にもニオイが充満している場合や、ゴミ屋敷のようになっている場合は別途作業が必要になるため、より多くの費用がかかります。

合計清掃費用

210,000円

4-2 ケース2:浴槽で亡くなっていた場合のシミュレーション

次に、浴槽内で亡くなっていた場合のシミュレーションを行います。

【特殊清掃を必要とする状況】
住まい:1R
状況:浴槽内で死亡している

このケースも室内が狭いため、基本料金を抑えることができます。

基本料金

1DKの特殊清掃45,000円
作業員(2名)40,000円(20,000円×2)

ただ浴槽で亡くなっていた場合の特殊清掃は、時間のかかる作業が多く費用も高くなりがちです。

特に浴槽に水が張ってある場合は、清掃員が手作業で浴槽内の液体を取り除くため、時間や労力がかかり費用が高くなる傾向にあります。

作業内容別の料金

浴槽の清掃(水が張ってある状態)100,000円
浴槽の清掃(水が張っていない状態)80,000円
浴槽の消毒作業15,000円
浴槽の消臭作業30,000円
水質検査30,000円

浴槽内で死亡していた場合は、浴槽内の水の有無で値段が異なります。
浴槽内に水が張ってある方が値段が高い理由は、清掃員が手作業で浴槽内の体液などを汲み取るためです。

それぞれの合計金額を計算してみると、

  • 浴槽に水が張ってある状態:260,000円
  • 浴槽に水が張っていない状態:240,000円

となり、どちらのケースも25万円程度のお金がかかります。

水質検査は必須作業ではありませんが、今後も同じ浴室や浴槽を使用する場合は、検査を行った方が安心して使用できると言えるでしょう。

合計清掃費用

260,000円 (浴槽内に水がない場合は240,000円)

4-3 ケース3:トイレまたは洗面所で亡くなっていた場合のシミュレーション

最後に、トイレまたは洗面台で亡くなっていた場合のシミュレーションを行います。

【特殊清掃を必要とする状況】
住まい:1LDK
状況:トイレの中または洗面台の近くで死亡している

トイレや洗面台は狭いものの、原状回復作業の際は、便座の着脱作業や交換などの手間や時間のかかる作業が必要になります。よって、基本料金以外にも様々なお金がかかると考えた方がよいでしょう。

基本料金

1LDKの特殊清掃80,000円
作業員(2名)40,000円(20,000円×2)

トイレや洗面台付近で亡くなっていた場合の作業内容は、以下の通りです。

作業内容別の料金

便座着脱作業9,800円
洗面台等撤去15,000円
床切断作業35,000円
床下洗浄コーティング35,000円
オゾン燻蒸30,000円

トイレや洗面台付近で亡くなった場合は、空間が狭いため、壁や便座の隙間から体液が床下に流れ込んでしまっているケースが多いです。よって便器や洗面台を取り外し、床下の清掃を行う必要があります。

トイレと洗面台近く、それぞれの場所で亡くなっていた場合の値段について計算してみると、

  • トイレで亡くなっていた場合:229,800円
  • 洗面所で亡くなっていた場合:235,000円

となり、大体25万円程度のお金がかかると考えられます。

ただ便器等の状況によっては、新しい便器や洗面台の購入が必要になる場合も多いです。
上記の値段に便座や洗面台の購入費用や、他の場所の掃除料金が加わり、料金が高くなる可能性もあります。

合計清掃費用

  • トイレで亡くなっていた場合:229,800円
  • 洗面所で亡くなっていた場合:235,000円

ここまで3つのケースについて紹介しましたが、遺体発見までの日数や室内の状況によっては、より多くの費用が必要になる場合もあります。

上記の金額はあくまで目安ですので、詳しい料金を知りたい場合は以下のページより、お近くの支部までお気軽にお問い合わせください。

5.孤独死の原状回復はどこまで請求できる?

上記のように、孤独死発生時の原状回復作業には多くの費用がかかります。

これらの原状回復費用を相続人や連帯保証人に全額負担してもらいたいところですが、実際は、減価償却の問題があるため、残念ながら全額を請求することは難しいと言えます。

では、どの程度請求ができるのかというとそれは以下の2つケースによって変わってきます。

  • 死因が病死や自然死の場合
  • 死因が自殺の場合 またはゴミ屋敷状態の場合

それぞれの原状回復費の請求範囲について詳しく紹介します。

5-1 死因が病死や自然死の場合

死因が病死や自然死の場合は、借り主が汚損していない部分以外の回復費用を請求することは難しいと言えます。

病死や自然死は誰にでも起こり得ることのため、借り主に責任はありません。


そのため一般的な賃貸物件の原状回復時と同様の扱いになり、相続人や連帯保証人に費用の全額を請求することは不可能となります。

より詳しく言えば、孤独死によるニオイのため壁紙の広範囲な交換が必要になった場合も、相続人や連帯保証人が原状回復費用の全額を支払う必要はないということです。

よって遺体発見までの日数にもよるものの、死因が病死や自然死の場合は、大家の費用負担は比較的大きくなってしまうと言えます。

【交渉次第では相続人や連帯保証人に費用を負担してもらえるケースも】

ただ「遺体の損傷がとても激しく、大掛かりな特殊清掃が必要」などの部屋の状況によっては、壁紙や床などの交換費用の一部を負担してもらえるケースもあります。

孤独死発生時には、汚損している部分の交換だけでなく、消臭などの作業も必要となるため、原状回復費用が高くなりがちです。

また家を貸している立場からすれば、人が亡くなっているため、壁紙や畳などをすべて取り替えたいと思う気持ちは大きいでしょう。

原状回復には多くの費用がかかることを相続人や連帯保証人に話し、相談しながら費用負担額の割合を決めることをおすすめします。

5-2 死因が自殺の場合 またはゴミ屋敷状態の場合

一方死因が自殺の場合は、自然死や病死とは異なり、かかった費用の大部分を請求できるケースが多いです。自殺は病死や自然死とは異なり、故意に行われる行為なので借り主の過失となるためです。

また死因が病死や自然死でも、部屋がゴミ屋敷状態の場合は、借り主の過失が認められるため多くの費用を請求できます。

しかしこのケースも、発生した費用の全額を請求することは難しい場合が多いです。負担割合でお悩みの際は、弁護士に相談することをおすすめします。

【死因が自殺の場合は損害賠償の請求も可能】

孤独死の原因が自殺の場合、大家は相続人や連帯保証人に損害賠償を請求することも可能です。

自殺発生時に物件所有者が最も気になる点は、「これまでよりも家賃を値下げする必要がある点」ではないでしょうか。

孤独死が発生すると事故物件となるため、家賃を値下げせざるを得なくなり、収益が減少してしまいますよね。

孤独死の原因が自殺の場合は借り主の過失となるため、大家は家賃の減収分に対する損害賠償の請求が可能になります。過去の判例では、賃貸物件で自殺が発生した場合、2年分の家賃減収分を損害賠償として支払うことが認められています。

家賃値下げによる収益減少が予測される場合は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

6.孤独死発生時の大家の費用負担を減らすための3つの予防策

孤独死の発生時には、原状回復のため多くのお金や手間がかかります。しかし発生前に対策をしておけば、コストや手間を大幅に削減できるかもしれません。

ここでは、大家の費用負担を減らすための3つの予防策を紹介します。

  • 定期的な声掛けを行う
  • 見守りサービスの導入
  • 大家向け孤独死保険の加入

6-1 定期的な声掛けを行う

少し手間のかかる方法ですが、定期的な声掛けは、孤独死の予防や早期発見に大変効果的です。

株式会社グッドサービスが実施した特殊清掃業者や遺品・生前整理業者を対象としたアンケート調査によれは、孤独死予防対策の第1位に「定期的に連絡を取る」がランクインしています。

出典:株式会社GoodService リリース

孤独死は、近所付き合いの少ない一人暮らしの高齢者に特に多く発生します。
定期的に声を掛ければ、現在の状態把握ができるだけでなく、孤独死発生時の早期発見にも繋がります。

近くに住んでいる場合は、定期的に声を掛けて様子を見ておくとよいでしょう。

6-2 見守りサービスの導入

定期的な声掛けの他に、見守りサービスの導入もおすすめです。
見守りサービスとはセンサーやカメラなどで居住者の異常を察知し、非常事態や孤独死を早期発見するためのサービスです。

見守りサービスと聞くと、まるで室内を監視するかのように感じるかもしれませんが、居住者の負担が少ない以下の2つのようなサービスも複数提供されています。

漏水・安否見守りサービス「CLASi」

出典:漏水・安否見守りサービスの「CLASi」

漏水・安否見守りサービスの「CLASi」は、計測機器メーカーのCluesが提供するサービスです。

水道メーターに専用装備を取り付けることで、水道の使用量により異常を感知します。

たとえば

  • 水道が流れっぱなしになっており漏水の可能性がある
  • 72時間以上水道が使用されていない

などの異常を確認した場合に、確認メールが大家や居住者に届けられます。

そのため早い段階で水のトラブルや居住者の異常を認識でき、孤独死の早期発見にもつながります。

居室センサー「LASHIC-room

出典:居室センサー「LASHIC-room」

居室センサー「LASHIC-room」は、インフィック株式会社が提供するサービスです。

文庫本程度のサイズのセンサーを室内に設置することで、室内の動きや火災、温度・湿度異常などを察知し、スマートフォンやPCにお知らせを通知します。

またお知らせ通知時以外にも各部屋の状況を確認できるため、気温上昇による熱中症などの孤独死リスクに備えることが可能になります。

上記のようなサービスは居住者が操作方法を覚えたり、自ら緊急ボタンを押したりする必要がないため、負担をかけることなく導入できます。

6-3 大家向け孤独死保険の加入

原状回復費用の費用負担の軽減のためには、孤独死保険への加入が効果的です。

孤独死保険とは、その名の通り孤独死発生時の原状回復費用や家賃損失を補償する保険のことです。

以下のような内容が補償に含まれており、最大で300万円程度が補償されるため、リフォームなどの大掛かりな原状回復が必要になった場合に特に役立ちます

  • 遺品の整理費用
  • 修理費用(原状回復費用)
  • 家賃損失額

また原状回復期間中の家賃損失についてもカバーできるため、部屋がゴミ屋敷状態であった場合にも活用できます。

大家型の孤独死保険は大きく3つあり、それぞれ以下のような特徴があります。

アイアル少額短期保険株式会社「無縁社会のお守り」

出典:無縁社会のお守り

 無縁社会のお守り
家賃補償最大200万円(最長12ヶ月・80%補償)
原状回復費用最大100万円
臨時費用5万円(原状回復費用保険金が5万円未満の場合)

「無縁社会のお守り」は、アイアル少額短期保険株式会社が提供する保険です。

特徴は家賃保証が充実していることで、1事故あたり最大200万円・最長12ヶ月の家賃補償を受けることができます。

孤独死発生時は原状回復などにより、次の借り手が決まるまでに期間が空いてしまうことも多いです。孤独死保険の中でも、1年も家賃補償を受けられる保険はほぼありません。

家賃補償が充実した保険に加入したい場合は、「無縁社会のお守り」を選ぶとよいでしょう。

株式会社あそしあ少額短期保険「大家の味方」

出典:大家の味方

 大家の味方
家賃補償最大家賃6ヶ月分
原状回復費用最大300万円
臨時費用・50万円 (死亡原因が犯罪被害の場合)
・20万円 (上記以外の場合)

「大家の味方」は、株式会社あそしあ少額短期保険が提供する保険です。
特徴は火災や水害など、孤独死以外のトラブルによる原状回復費用にも補償が出ることです。
また原状回復などにより家賃が減少した場合は、家賃収入による損失を最大6ヶ月補償します。

孤独死以外のトラブルにも対応した保険に加入したい場合は、「大家の味方」を選ぶとよいでしょう。

住まいぷらす少額短期保険株式会社「大家さんの安心ぷらす」

出典:大家さんの安心ぷらす

大家さんの安心ぷらす

 25万円コース50万円コース
家賃補償なしなし
原状回復費用実損100万円限度実損100万円限度
臨時費用定額25万円(犯罪死・自殺は2倍)定額50万円(犯罪死・自殺は2倍)

「大家さんの安心ぷらす」は、住まいぷらす少額短期保険株式会社が提供する保険です。
特徴は、居住者の死因が自殺や犯罪死の場合は、臨時費用保険金が2倍支払われることです。
また遺品整理費用が大家負担となった際に、遺品整理の負担費用に対する補償がある点も便利なポイントです。

原状回復費用費用だけでなく、遺品整理にも対応した保険に加入したい場合は、「大家の味方」を選ぶとよいでしょう。

ここまで3つの保険を紹介しましたが、上記の通り、補償の内容や金額は各保険によって異なります。
迷った場合は、既に加入している保険の内容とも比較して検討するとよいでしょう。

なお孤独死保険の保険料や補償内容については、以下の記事でより詳しく解説しています。気になる選び方についても解説していますので、ぜひご一読ください。

7.孤独死の原状回復・遺品整理は「リスクベネフィット」におまかせください!

ここまで、孤独死の原状回復費用や作業内容・費用負担を減らすための方法について紹介しました。

原状回復費用は遺体の損傷具合によって異なり、費用が高額になるケースも多く見られます。

ただお金がかかるからと、壁紙の一部取替や室内の簡単な清掃だけで作業を終わらせてしまうと、後からニオイなどに悩まされることになるかもしれません。

孤独死発生時の原状回復を行う際には、特殊清掃のプロによる、徹底的な作業が清掃が欠かせません。
安心して依頼できる特殊清掃業者をお探しの場合は、「リスクベネフィット」がおすすめです。

リスクベネフィットは特殊清掃に特化した清掃業者で、特許技術による完全消臭が可能なため、遺体の損傷が激しい孤独死現場の消臭にも対応しています。

さらにリスクベネフィットでは、以下の作業をすべてセットにした「孤独死パック」を8万円以下の金額で提供しています。

  • 汚染物除去
  • 汚物清掃
  • ライト照射確認
  • 消毒剤散布
  • オゾン燻蒸
  • 殺虫/除去剤散布
  • 近隣への対策
  • 関係業者代理作業

孤独死が発生した部屋の原状回復やニオイでお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

8.まとめ

この記事では、孤独死発生時の原状回復の相場や費用負担者・作業内容について詳しく解説しました。
最後に、孤独死の原状回復費用の負担責任者について、もう一度まとめます。

孤独死発生時の原状回復費用負担者

相続人・連帯保証人がいる場合相続人または連帯保証人
相続人が相続放棄をした場合連帯保証人
相続人と連帯保証人が同じで相続放棄をした場合連帯保証人
死亡者が生活保護受給者の場合連帯保証人または保証会社

上記の表を見ると、相続人または連帯保証人がすべての費用を負担してくれるように感じますが、法定耐用年数の問題により、費用の全額負担は難しいと言えます。

よって大家の費用負担を少しでも減らすためには、見守りサービスの導入や孤独死保険の加入などの対策を行っておくことが重要です。

また孤独死が発生してから焦らないように、事前に特殊清掃業者を探しておくことも重要なポイントの1つと言えます。

孤独死は、借り主の年代に関わらずいつ発生してもおかしくありません。この記事を参考に、あなたが孤独死の原状回復対策を進められることを願っています。