壁紙の原状回復は誰が負担?借主が負担すべきケースと費用相場を解説

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壁紙の原状回復は誰が負担?借主が負担すべきケースと費用相場を解説

引っ越しをする際、退去する部屋の壁紙に汚れや剥がれといった劣化が目立っていると、「綺麗にして返さないとまずいのでは?」と不安になりませんか?

結論から言うと、壁紙の原状回復費用を誰が負担するかは、状況によってどちらが負担するか変わります。

国土交通省が原状回復についての基本ルールを示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、

  • 時間の経過とともに劣化した場合→貸主(大家さんや管理会社)負担
  • わざとやうっかりミスで劣化した場合→借主(あなた)負担

と記載されており、賃貸物件の退去においては、この基準が適用されるのが一般的です。

しかし、こういった基本ルールを借主が知らないだろうと踏んで、不当に高額な費用を請求する貸主も少なくはありません。
借主であるあなたが、壁紙の原状回復に関する正しい知識を身に付けておかなければ、何もわからないまま高額な退去費用を払ってしまう危険があるのです。

さらに、万が一不当に高額な原状回復費用を請求されたときのために、料金を抑えるテクニックも身につけておかなければなりません。

そこで本記事では、賃貸の部屋を退去する前に絶対に知っておきたい

  • 費用は誰が負担するのか
  • 費用の相場
  • 費用を抑える4つのステップ

の3つについて、順番に解説していきます。

最後まで読み終わる頃には、自分がどのくらいの原状回復費用を払えば良いのか具体的に把握でき、不当な高額請求にも堂々と対応できるようになることでしょう。

1.壁紙の原状回復費用は誰が負担?ケース別に解説

あなたが今住んでいる賃貸の家を退去した際、よほど綺麗な状態でない限りは、貸主が次の入居者のために壁紙を貼り替えます。

そこで問題になってくるのが、貼り替えにかかるお金を借主と貸主のどちらが負担するかという点。
できれば退去前に、知っておきたいところですよね。

冒頭でも説明したように、壁紙の原状回復費用を誰が負担するかは、状況によって変わります。

借主負担

  • タバコのヤニや臭い
  • ペットの臭い
  • 落書き 
  • 油汚れ
  • シミ
  • 傷(ぶつける・引っ掻くなどでできたもの)
  • カビ(結露の放置などによるもの)
  • 腐食(クーラーの水漏れなどによるもの)

貸主負担

  • テレビ・冷蔵庫裏の電気焼け
  • 変色(日焼けによるもの)
  • ポスターの跡
  • 画鋲やピンなどの小さな穴

なぜこのように状況によって負担する人が変わるのか、これから詳しく解説していきます。

1-1.借主(あなた)が費用を負担するケース

国土交通省が公開している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下「ガイドライン」と表記)では、原状回復を次のように定義しています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

引用元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン|国土交通省住宅局

わかりやすく言い換えると、「わざともしくはうっかり壁紙を傷つけてしまったり、お手入れをサボって汚れたりした場合は借りた側の人間、つまりあなたが元の状態に戻す義務がある」ということです。

具体的には、以下のようなケースが当てはまると考えられます。

◎イライラして壁を叩いたら、傷が付いて壁紙が剥がれてしまった
◎子供が壁紙に落書きをした
故意による損耗・毀損

◎引っ越し作業中、運んでいた家具を壁にぶつけて傷が付いた
◎コーヒーをうっかりこぼしてしまい、急いで拭いたが壁紙にシミが残った
過失による損耗・毀損

◎結露を拭き取らず放置していたら、壁紙にカビが生えた
◎クーラーが水漏れしてもすぐに修理を呼ばず、壁紙が腐食した
善管注意義務違反

◎長年部屋でタバコを吸っていたら、ヤニや臭いが壁紙に付着した
◎ペットが引っかき傷など付けないよう注意していたが、壁紙に臭いが残っている
通常の使用を超える損耗・毀損

こういったケースでは、貸主はあなたに原状回復費用を請求する正当な権利があります。
そのため、あなたが費用の負担を免れるのは難しいと言えるでしょう。

また、入居前に敷金を納めていた場合は、そこから貼り替え費用が賄われます。
支払った敷金の金額が高ければ高いほど、退去費用も少なく済む、ということですね。

1-2.貸主(管理会社・大家さん)が費用を負担するケース

貸主側が費用を負担するのは、壁紙の変化が「通常損耗」と「経年変化」に該当する場合です。

「通常損耗」は普通に生活していたら避けられない傷みや汚れ、「経年変化」は時間の経過とともに発生する品質の低下のことを指します。

これらに当てはまるのは、以下のようなケースです。

◎冷蔵庫をどかしたら、裏の壁紙が黒ずんでいた
◎壁に画鋲で留めていたポスターを剥がしたら、小さな穴が残ってしまった
通常損耗

◎日当たりが良い部屋だからか、引っ越して来たときよりも、壁紙の色があせてしまった気がする
経年変化

このような場合は、原状回復の対象外であるとして、貸し主側が費用を負担して復旧するのが一般的です。

2.壁紙の原状回復の費用相場

原状回復費用を自分が負担するとわかった場合、真っ先に「いくらかかるの?」という疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。
いきなり見積もりを見てショックを受けないよう、相場と費用が高くなるケースをを確認しておきましょう。

2-1.通常の相場は6畳の部屋で5万3千円

全体6畳の部屋の壁紙の面積は、四方の壁と天井を合わせておよそ45㎡。
1㎡あたりの壁紙の料金相場は1,177円なので、部屋全体の壁紙を貼り替えると5万3千円ほどかかる計算になります。

「汚れや傷がある部分だけ張り替えれば、もっと安くなるのでは?」と思うかもしれませんが、残念ながら壁紙の貼り替えは、部屋全体で行うのが一般的。

これは、部屋の一部だけ新品の壁紙に貼り替えることにより、周囲の壁との調和が取れなくなってしまうのを防ぐためです。

なお、小さな穴やシミなど毀損箇所がごく一部の場合は、「毀損箇所を含む壁一面分を借主が負担する」とガイドラインには記載されています。

2-2.通常よりも費用が高くなるケース

壁紙を張り替えただけでは元通りにならない傷や汚れがついてしまっている場合、張り替え以外の工事が必要になるため、原状回復費用も高額になる可能性が高いです。

▼高額になるケース一例

◎壁紙を剥がしても取れないタバコやペットの臭い
別途消臭工事が必要になるため、追加料金発生!

◎大きなへこみや穴
◎壁の内部まで進んだ腐食
下地となる石膏ボードの交換が必要になるため、追加料金発生!

また、入居時の契約によって、負担する金額が変わる場合もあります。

▼契約によって費用が高額になるケース一例

◎入居時に敷金を支払っていない
本来敷金でまかなわれるはずの張替え費用が丸ごと請求されるため、高額に!

◎契約書に「通常損耗や経年変化の場合も、修繕費用を入所者が負担する」といった内容が記載されている
本来貸主が負担するはずの費用であっても、契約に合意している以上、払わなければいけない可能性がある

後から「しまった!」とパニックにならないよう、契約書は退去前によく読んでおきましょう。

3.必要以上に高額な費用を請求されることもあるので注意!

これまで解説してきたように、壁の汚れが通常損耗や経年変化の範囲内であれば、原状回復費用は本来貸主である大家さんや管理会社が負担するもの。

しかし、不動産の知識がない借主に負担させて、不当に高額な費用を請求してしまおうと考える貸主も少なくはありません。
なぜこんなことが起きてしまうのかというと、国土交通省が発表したガイドラインはあくまで「判断の基準となる基本ルール」という位置づけで、法的拘束力を持つものではないためです。

引越し前の出費を少しでも抑えるためには、大家さんに言われるまま高額な費用を支払ってしまう前に、事前に対策できることはしておく必要があります。

4.壁紙の原状回復費用を抑える4つのステップ

高額な原状回復費用を請求されないための対策としては、以下の4つのステップを順番に行うのが効果的です。

  • STEP1 おおよその原状回復費用を割り出す
  • STEP2 できる限り自分で修繕する
  • STEP3 自然損耗・経年変化した場所をアピールする​
  • STEP4 請求額に納得できない場合は貸主に価格交渉

引っ越しの流れと照らし合わせると、以下のようなスケジュールになります。

それぞれのステップで具体的にどんなことをすればいいのか、ひとつずつ確認していきましょう。

4-1.STEP1 おおよその原状回復費用を割り出す

まずは、退去費用の見積もりが出たときに備えて、その金額が妥当なのかどうかを判断できるようになっておくことが必要です。

あなたが今住んでいる部屋を退去するとき、壁紙の原状回復にどのくらいのお金がかかるのか、おおよその金額を計算してみましょう。

4-1-1.原状回復が必要な壁の面積を測る

はじめに、汚れや傷がある壁紙の面積を測ります。
測り方は、次の方法が最も簡単です。

①メジャーで壁の高さと幅を測り、壁全体の面積を計算する

② ①で出した面積から、窓やふすまといった、壁紙を使用していない部分の面積を引く

前述した通り、傷のある箇所が小さくても、壁紙の張替えは部屋ごとに行われるため、壁紙の面積は必ず面単位で計算するよう注意しましょう。

あなたが部屋を退去したあと、部屋の全ての壁紙が剥がされますが、傷のある面の貼り替え費用はあなたが負担・その他の面は貸主が負担、ということですね。

4-1-2.住んだ年数に応じた「残存価値割合」を計算する

同じ部屋に長い期間住んでいた場合、新品の壁紙に貼り替える費用を全て自分が負担することに、納得がいかないという人もいるのではないでしょうか。
このモヤモヤを解消してくれるのが、「残存価値」という考え方です。

賃貸物件の壁紙のように、時間の経過とともに価値が落ちていくものは、使用していた期間によって負担する割合が減っていきます。
壁紙に残っている価値の割合のことを「残存価値割合」と呼び、住んだ年数を元に借主が負担する費用を決定します。

壁紙の耐用年数は6年とガイドラインで規定されているため、住んだ年数による残存価値割合は以下のグラフのようになります。

グラフでイメージしにくい場合は、次の早見表を見て、自宅の壁紙の残存価値割合を確認しましょう。

【壁紙の残存価値割合早見表】

住んだ年数壁紙の残存価値割合
※小数点第二位以下四捨五入
1年未満100%
1年83.3%
2年66.7%
3年50%
4年33.3%
5年16.7%
6年以上0 (残存価値は下限の1円になる)

例えば、3年住んだアパートの壁紙張り替え費用が2万円だった場合、残存価値割合は50%なので、借主の負担責任があるのは半額の1万円になります。

4-1-3.貼り替え以外にかかる費用をプラスする

壁紙の貼り替え以外の工事が必要な汚れや破損がある場合は、その費用もあらかじめ加算しておく必要があります。

以下の表を参考に、自分が追加で払う料金を把握しておきましょう。

ケース必要な工事料金相場
タバコの臭いタバコ消臭・除菌(6畳)36,000
ペットの臭いペット消臭・除菌(6畳)39,000
大きな穴石膏ボード補修(直径10cm程度)25,000
壁内部の腐食石膏ボード交換(1㎡)31,000

部屋の広さや破損箇所の大きさが目安と異なる場合は、その分増額・減額すると、より具体的なシミュレーションになります。

4-1-4.それぞれの数字を計算式に当てはめる

ここまで材料を用意したら、いよいよ冒頭で紹介した計算式に当てはめます。

【例】6畳ワンルームのアパートに3年住み、タバコを吸っていた場合

これで、おおよその壁紙原状回復費用が計算できました。

実際の請求書が届いたときに見比べられるよう、スマホやパソコンのメモ帳など、いつでも取り出せる場所にこの数式を保存しておくことをおすすめします。

4-2.STEP2 できる限り自分で修繕する

自分が負担しなければならない壁紙の原状回復費用をシミュレーションしてみて、あ「意外と安い!」と安心したかもしれませんが、シミュレーションでわかるのは、あくまでも「費用の目安」です。

自分では通常損耗だと思っていたちょっとした汚れも、貸主が「綺麗に使うのを怠った汚れ」と判断した場合、その分の費用を請求されてしまう恐れがあります。
さらに、消臭や穴の修復といった別途工事が必要なケースは、貸主が相場より高い業者を手配する可能性も。

こういった原状回復費用が跳ね上がるリスクを避けるためには、自分でできる範囲の原状回復をすることが重要です。

ここでは、自分でできる範囲の原状回復の方法を2つ、紹介します。

4-2-1.壁紙にダメージを与えない範囲で掃除

壁紙の油汚れや落書きは、「故意・過失による壁紙の損耗」と判断されやすいため、原状回復費用を請求される可能性が非常に高いです。

できる限り自分で汚れを落としておきたいところですが、掃除をしたことによって壁紙が傷み、元の状態以上に費用がかかってしまう危険も。

リスクを回避するためには、壁紙にダメージのない範囲で掃除をし、汚れが落ちない場合はいさぎよく諦めるのが一番。

本記事では、「ぬるま湯」と天然成分のアルカリ洗剤である「セスキ炭酸ソーダ」を使った、壁紙に優しい掃除方法をおすすめします。

壁に優しい掃除の方法

【用意するもの】

【やり方】

  1. 壁紙の目立たない部分に水を少量垂らし、水を弾くタイプのクロスかを確認する
  2. ぬるま湯と粉末のセスキ炭酸ソーダをスプレーボトルに入れ、よく振って混ぜる
  3. 壁紙の汚れが気になる部分に吹きかけ、5分間置く
  4. 乾いた雑巾で拭き取る

【注意点】

  • 雑巾で強くこすったり、歯ブラシなど壁紙に傷がつくような道具は使用しない
  • 布張りなど、水を吸収するタイプの壁紙には使用しない
  • 水分が残ったままだとカビの原因になるので、しっかりと拭き取る
  • セスキ炭酸ソーダとよく似た「重曹」は、摩擦で傷がつきやすいため、使用しない

掃除に必要な道具は、いずれもドラッグストアや100円ショップで手に入るものなので、ぜひ試してみてくださいね。

ただし、範囲の広い汚れ・時間が経ちすぎて落ちにくくなった汚れ・油性マジックによる落書きなどの場合は、無理に落とそうとせず諦めることも重要です。

4-2-2.自分で業者を手配する

消臭・殺菌や穴の修繕といった、壁紙の貼り替え以外の工事が必要な場合、貸主である大家さんや管理会社が業者を手配するのが一般的。
業者の選定が貸主に任されている以上、費用の内訳が不透明になりやすく、必要以上に高額な費用を負担させられてしまう可能性もあります。

そこで、自分でクリーニングや修繕業者を手配してしまうというのも、ひとつの方法です。
自分が選んだ業者に工事をしてもらうことで、費用が予算の範囲内に収められます。

【自分で業者を手配する際の注意点】

  • 価格が安すぎる業者は選ばない
  • 貸主に許可を取ってから工事を行う

工事が不十分だったり、勝手に業者を手配したことを貸主が認めてくれなかった場合、原状回復費用を二重に支払うことになってしまう恐れもあります。
必ず貸主に許可を取るようにしましょう。

ペット消臭は特殊清掃業者に依頼するのがベター

壁紙工事のなかで、完全に元の状態に戻すのが特に難しいとされているのが、ペットの臭いです。

消臭作業を専門業者にお願いしてアンモニア臭を取り除いても、尿に含まれるフェロモン臭が残ってしまう場合があります。

自分で業者を手配して、貸主に「きちんと消臭しました!」と伝えても、臭いが残っていては説得力がありませんよね。

作業費用を二重に支払う事態を防ぐためには、「完全消臭」が鉄則です。
ペット臭を完全に消すためには、特殊清掃を専門に行う業者に依頼するのが確実。

リスクベネフィットは、数多くの猫屋敷や犬屋敷を清掃してきた実績を誇る、特殊清掃の専門家集団です。
独自開発のフェロモン臭分解・臭いを分解するオゾン燻煙・臭気を塞ぐコーティングで、完全消臭を実現します。

「ペット禁止の物件でこっそり猫を飼っていたから、なんとしても完全消臭したい」
「確実に臭いが残らない状態にするために、信頼できる業者に依頼したい」

そんなお悩みを、リスクベネフィットのペット消臭が解消します。

自分で業者を手配して、ペット臭を確実に消したいとお考えの場合は、ぜひ一度リスクベネフィットにご相談ください。

4-3.STEP3 自然損耗・経年変化した場所をアピールする​

これまで、退去前に準備しておくべきことを紹介してきました。
続いてはいよいよ、実際に退去する際にやっておくべきことの紹介です。

今後の費用請求額を左右する、非常に重要なステップなので、しっかり確認しておきましょう。

引越し当日は、大家さんや管理会社と一緒に部屋の中を見て回り、鍵を返却して退去となるのが一般的な流れ。
このとき、「ここが汚れていますね」といった、貸主側からのチェックが入ります。

自分の責任ではない汚れや傷がついている場合は、聞かれていなくても必ず主張するようにしましょう。

何も言わないでいると、貸主から「この人がつけた傷だな」と思われ、原状回復費用に上乗せされてしまうに可能性があります。
これから紹介する具体例を参考に、抜け漏れなく伝えられるようにしておきましょう。

4-3-1.入居前から壁に傷やシミ・剥がれがあった場合

自分が入居する以前からあった損耗に関しては、「これは元からあったものです」と、主張します。

主張が事実かどうかを貸主から疑われる場合もあるため、自分の無実を証明するためには、入居当初の写真を撮っておくのが最も確実です。

写真を撮っていなかった場合はやや状況が不利になりますが、証拠の提示は借主の義務ではありません。

証拠の提示を求められた場合は、逆に「私が入居する前に傷がなかったという証拠はありますか?」とこちらからも証拠を求めることで、原状回復費用の負担を回避できる可能性があります。

【入居前の損耗を主張する際のポイント】

  • 証拠がなくても、主張することを諦めない
  • 貸主に主張が嘘だと疑われてもひるまず対応する

4-3-2.生活上避けられなかった損耗がある場合

風通しが悪い場所に発生したカビなど、生活上避けられなかった損耗がある場合は、「発生を防げなかった理由」をきちんと説明することが重要。

23日に一度は部屋の窓を全て開けて換気をし、結露を小まめに拭き取り、除湿剤を置いていました」など、自分がどのように管理していたかを正直に説明しましょう。

「部屋の維持管理を怠った」と判断されてしまう場合もありますが、話をしっかりと聞いてくれる貸主であれば、正当性が認められる可能性もゼロではありません。

【生活上避けられなかった損耗を主張する際のポイント】

  • 「どうしても避けられなかった理由」を具体的に説明する
  • 部屋をきれいに保つために、自分がしたことをアピールする

4-4.STEP4 請求額に納得できない場合は貸主に価格交渉

退去費用の請求書は、退去してからおよそ一ヶ月後に、新居へと届きます。
請求書が届いたら、すぐにサインせず、まずは金額や内訳をしっかりと確認しましょう。

壁紙の原状回復費用が納得のいかない金額だったり、内訳に不透明な部分がある場合は、貸主へ連絡して値下げ交渉を行います。

【値下げ交渉前に準備しておくこと】

  • 請求書の納得できない部分と、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に書かれている内容を照らし合わせ、請求が不当な理由を明らかにしておく
  • 退去した物件の契約書をよく読み、自分に不利な内容が書かれていないか確認する

電話でやりとりする場合は、ガイドラインと契約書を手元に用意しておくと安心

【値下げ交渉のシミュレーション】

あなた:
本日届いた退去費用の請求書について確認させてください。壁紙の貼り替え費用が20万円とのことですが、内訳を教えていただけませんか?

貸主:
お部屋全体の壁紙の貼り替えに、工事費用と人件費で合わせて20万円かかったので、全額お支払いいただきます。

あなた:
退去に立ち会ったとき、壁には冷蔵庫の電気焼けの跡と、日焼けによる色あせしかないという お話でしたよね?
国土交通省のガイドラインによると、これは「自然損耗」の範囲に収まるものだと思うのですが、いかがでしょうか。

貸主:
契約書の◯条に、「自然損耗や経年変化の場合も原状回復費用を請求」と記載しているので、お支払いいただかないわけにはいきません。

あなた:
わかりました。それでは、減価償却についてはどうなりますか?
6年間住んだので、壁紙の残存価値は1円になっているはずですよね?

貸主:
壁の残存価値は1円になっているかもしれませんが、貼り替え工事にかかったお金は20万円なので……。

あなた:
残存価値が1円の壁紙に対して、貼り替え費用を借主が100%負担するというのは、いわゆる「グレードアップ」にあたるのではないでしょうか。
間をとって、50%の5万円をこちらで負担するということでいかがでしょう。

このように原状回復についてある程度知識があること、退去費用をタダにしようと文句を付けているわけではないことをアピールしながら価格交渉することで、話を聞いてもらいやすくなります。

5.トラブルに発展した場合は第三者の協力を

貸主が正当な理由なく価格交渉に応じない場合、それ以上当人同士で争っても、話し合いは平行線になる可能性が高いです。

引っ越し前後の慌ただしい時期に、揉め事が長引くのは避けたいですよね。
なるべく早く決着をつけるためには、何度もやりとりするよりも、第三者の視点からアドバイスをもらうのが効果的です。

5-1.まずは消費生活センターに相談

原状回復費用をめぐるトラブルの窓口となるのが、「消費生活センター」。
消費生活全般に関する相談を電話で受け付けている機関で、専門の相談員から客観的なアドバイスがもらえます。

【電話相談例】

  • 〇〇市の賃貸アパートを退去して、先日請求書が届いたのですが、壁紙の貼り替え費用が高すぎる気がして……。◯年住んで、過失による損耗は1箇所の剥がれだけなのに全額請求って、借主の負担が大きすぎますよね?
  • 壁紙の原状回復費用に納得がいかず、大家さんに聞いても詳しく説明してくれないのですが、どうやって交渉に持ち込んだらいいでしょうか?
  • 入居前からあった傷の補修費用を請求されて、証拠の写真を撮っていなかった場合、諦めて支払うしかないのでしょうか……?

退去費用をめぐるトラブルは、当事者でないと判断がつきにくいものが多いため、消費生活センターで「トラブルを100%解決できる方法」を教えてもらうのは難しいのが現状です。

「貸主との向き合い方や妥協するポイントを提案をしてもらえる場所」、と捉えて相談することをおすすめします。

5-2.最終手段は少額訴訟

消費生活センターに相談しても状況が変わらず、なおかつ請求通りの額を支払うことに納得がいかない場合、残された選択肢は裁判しかありません。

壁紙の原状回復をめぐるトラブルは裁判に発展するケースも少なくはなく、借り主側の主張が認められ、敷金が返還された判例も数多くあります。
つまり、こちらの対応次第では費用が減額されるチャンスは十分にある、ということです。

退去費用に関するトラブルは、「少額訴訟」という1回の裁判で判決が出る訴訟手続を選ぶのが一般的。
しかし、1回で裁判が完結するとはいえ、手数料がかかるうえに、多くの時間や労力を要します。

そのため、心身への負担と戻ってくる可能性のあるお金を天秤にかけ、やるからには覚悟を持って臨む必要があります。

6.まとめ

最後に、ここまでご紹介した内容の重要ポイントをおさらいしてみましょう。

壁紙の原状回復費用は、自然損耗・経年変化の場合は貸主が、過失・故意・管理不足による損耗は借主が負担する

費用の相場は、6畳の部屋で5万3千円程度

貸主が独自のルールを作って、高額な費用を請求される可能性もあるため、原状回復に関する知識を持っておくことが重要

費用を最小限に抑える4つのステップ

  • STEP1 おおよその原状回復費用を割り出す
  • STEP2 できる限り自分で修繕する
  • STEP3 自然損耗・経年変化した場所をアピールする​
  • STEP4 請求額に納得できない場合は貸主に価格交渉

トラブルに発展した場合は、消費生活センターや少額訴訟など、第三者を挟む

この記事を読んで、壁紙の原状回復に関する不安要素が少しでも解消されたら幸いです。